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理事長挨拶

理事長就任挨拶

 令和2年1月、日本食品微生物学会の新理事会が発足しました。新しい時代、令和における最初の理事会で、歴史ある本学会を代表する立場を拝命し、その重責をひしひしと感じています。これまで諸先生、諸先輩方が、会員の皆様とともに育ててこられた本学会を、新理事・評議員の皆様のご支援・ご協力を仰ぎながら、さらに充実、発展させるために全力を尽くす所存です。会員の皆様をはじめ関係各所の方々には、どうかこれまでと変わらずご協力をよろしくお願い致します。

 本学会は、「食品の微生物(細菌、ウイルス、真菌)および寄生虫に関する学術研究の推進、並びにその成果の普及を図り、食品の安全および機能の向上に寄与すること」を目的としています(定款第2条)。私なりにこれを解釈すると、人、食品、微生物が交わる場所で生じる様々な問題と利益を、科学的立場から深く理解し、問題の解決手段を社会に提案したり、科学的根拠を社会に説明することが本学会の目的だと考えます。一方では上記三者が互いに影響を及ぼし合うその仕組みを理解し、他方では結果として現れる諸問題を見据えながら、その間で生じる様々な現象を科学的思考で紐解いて、問題発生を予防する方策を考案、社会に役立つ情報発信を行う、これが最終目標だということです。
 もちろん、これを実行することは簡単ではありません。関連する科学者、消費者、行政、様々な業態の事業所等が協力して取り組むことが求められます。そのために本学会は、前身である「食品衛生微生物研究会」発足当時からこの「協働」を理念とし、学会へと形を変えながら40年もの間、産・官・学、3つのセクターが協力し合い、会を運営してきました。産・官・学の協力関係を重視する本学会の理念は、学会のシンボルマークにある「3つの輪」にも表されています。

 この学会の理念を実行し、目標を達成するため、本学会では以下の3つの柱を重視しています。

  • 機関誌「日本食品微生物学会雑誌」を年4回発刊します。
  • 会員が一堂に会する「学術総会」を年1回開催します。
  • 地域を拠点とした「学術セミナー」を年2回開催し、地域に根ざした時事問題を議論します。また「技術セミナー」を開催し、技術リソースを社会に還元、人材育成に役立てます。

 これらの活動を通して、食品微生物に関する最新情報、技術を会員間あるいは広く社会全体と共有し、食品に潜むリスクと利益、そこから生じる問題の解決と利益の社会還元について討議します。そして活動を社会全体へ還流し、次世代の人材育成を推進することで、より良い社会の形成と発展のために役立つことを目標とします。

 さて、先人達の努力により、食に潜む危害因子の排除手段が整えられ、現在は大きな不安を感じる必要のない生活基盤が整えられています。しかし、それにも関わらず、食品に起因する健康被害がいまだに生じていることもまた事実です。危害因子は社会情勢の変化とともに多様化・複雑化し、今後、従来通りの予防策では対応しきれない事例が発生しうることも、歴史が証明しています。グローバルな人や物の移動はさらに活発となり、マスギャザリングにより人の健康や食料の安定供給が脅かされている中、食品微生物学が担う社会的役割とは何でしょうか。5年前には予想もしなかった技術革新が当たり前のように実現化している現代社会で、5年後。10年後を考えながら食の安全を担保する役割を、誰が担っていけるでしょうか。
 また、遺伝子解析技術の進歩に伴い、食品と人の健康は、これまで考えられてきた以上に複雑に影響を及ぼしあっていることが明らかになりつつあります。例えばマイクロビオタ(microbiota)の存在抜きには食品微生物学を考えることはできなくなりつつあります。もしかすると私たちが見逃している危害性・有益性がまだまだ食品・微生物・人間の接点に埋もれており、科学技術の発展に伴い、将来、思いもしなかった事実に驚かされることになるでしょう。

 今後の日本食品微生物学会を考えるにあたり、私たちが直面するだろう上記課題には、特定の背景を持つ、特別な人だけで対応できるものではありません。多様な背景を持つ人たちが、共通の場に会して、あるいは共通の媒体を介して、様々な方向性から議論を行い、またその議論を様々な方向性へ発展させることが求められています。そのための場を提供するのが、最も重要な学会の役割だと考えています。ただ入れ物があっても、中身がなければなんの意味もありません。学会の場で、多くの方が集い、多様な議論が展開される、そのための吸引力とツールを用意するのが、学会役員の、そして令和の初代理事長たる私の役割だと考えます。会員の皆様、関係者の皆様には、そのためのご支援とご協力をよろしくお願い致します。学会員以外の方々には、是非本会に入会していただき、有意義な議論に参加していただきたいと考えています。重ねてご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科
三宅 眞実