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食品微生物Q&A

Q2.
芽胞菌の検査において加熱条件はどう設定すればいいのですか?
A2.

通常は、食品の芽胞菌検査では、試料の10倍乳剤を沸騰水中で10分間加熱した後、希釈系列を作り、標準寒天培地に混釈して35℃で48時間培養して、コロニー数から芽胞数を測定するとされています。バチルス属細菌は好気性で、寒天培地表面に大きく拡散するのでこれを防ぐために混釈培地が固まった後、表面に4ml程度の標準寒天培地を重層して培養することもあります。しかし、沸騰水中で10分間の加熱では、食品に損傷した状態で存在している芽胞にとってさらに損傷させるだけで、加熱による発芽促進効果が期待できず、培養してもコロニー形成されないこともあります。加熱しないで希釈して混釈培養した場合にはバチルス属と思われるコロニーが出てきているのに加熱した場合にはコロニーが出てこない場合には、栄養細胞を殺す加熱の条件を85℃、10分、80℃、10分間などにして測定する必要があります。(検査指針)

検査対象とする試料は製造する食品の原材料でしょうか。それとも最終製品でしょうか。原材料ですと、固形、粉体、乾燥品、冷凍品などがあげられます。粉体には砂糖、デンプン、香辛料などがあげられます。検査の対象とする芽胞によって加熱条件は異なります。

缶詰、レトルト食品などのような100℃以上で加熱殺菌する製品の原材料は100℃で20分間の加熱処理を実施しています。100℃以下の加熱条件で製造する製品の原材料の検査では加熱条件は70~80℃で20分間を採用しています。原材料の中でデンプンなどは加熱処理した場合に粘稠度が高くなりピペット等で吸えない場合があります。このような場合にはあらかじめ一定量の試料液を一定量の培地に加えて加熱処理した後、50℃付近まで下げてペトリ皿に分注します。

過去に調べた加熱条件として採用されていますのは、Bacillus属芽胞については、70℃で25または30分間、75℃で15分間、80℃で10または30分間、沸騰水中(100℃)で5、10または20~30分間です。Clostridium属芽胞については、62.5℃で30分間、75℃で5、10または15分間、70℃で20分間、80℃で5~10分間です。

加熱処理に用いる試料液を収容する容器(例えば、試験管、大試験管、耐熱ねじ口ビン)は大きさにより熱伝達は異なります。例えば、試料液50mlを投入した大試験管を沸騰水中で加熱した場合は内容液の温度が98℃に到達するまで、内壁部で約5分、中心部で約6分、また200mlサイズの耐熱ねじ口ビンでは約10分かかります。したがって、5分間の加熱時間は採用できないでしょう。また、作業性からすれば加熱時間は20分までかと思います。加熱する容器のサイズによって加熱時間は異なり15~20分が妥当かと思います。

芽胞の検査において、混釈培養法で寒天培地を重層しない場合と重層して十分な乾燥が行われず培養した場合に、B.subtilisまたはB.licheniformisは平板表面で大きく拡散して、他のコロニーを覆い隠してしまいカウントできなくなることがありますので注意が必要です。このため、培養条件が35℃で48時間となっていても、培養期間中は朝、夕観察し集落の出現状況をチェックすることが必要です。48時間後にだけカウントすればよいと言うわけではありません。((社)日本缶詰協会)