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食品微生物の基礎知識

エルシニア属〔genus Yersinia

腸内細菌科に属するグラム陰性通性嫌気性桿菌である.本属菌には現在12菌種があり,このうち,エルシニア症の病原体であるY.enterocoliticaY.pseudotuberculosisならびにペストの病原体であるY.pestisがヒトや動物に病原性を示す.3菌種とも至適発育温度は28℃付近で,4℃以下でも発育可能な低温発育性の病原菌である.Y.enterocoliticaは5つの生物型とO抗原により50以上の血清群に型別されており,このうち,ヒトに病原性を示すものは生物型と血清群の特定の組合せに限られており,O3(3または4),O4,32(1),O5,27(2),O8(1),O9(2),O13a,13b(1),O18(1),O20(1)およびO21(1)(カッコ内は生物型)の9血清群のみである.Y.pseudotuberculosisはO抗原により,1~15の血清群に型別され,さらに数亜群も含め,現在までのところ,21血清群が知られている.また,Y.pestisは1つの血清型しかない.3菌種とも約70kbの病原性プラスミドを共通して保有し,さらに,Y.pestisは110kbと9.5kbの病原性プラスミドを保有している.3菌種とも自然界における保菌動物で重要なものは野生げっ歯類である.また,Y.enterocoliticaY.pseudotuberculosisでは,ブタ,ヒツジ,イヌ,ネコなども保菌動物として知られる.Y.enterocoliticaおよびY.pseudotuberculosisは,保菌動物から直接または汚染された食品を介してヒトに感染する.また,Y.pestisは野生げっ歯類からノミを介してヒトに感染する.なお,Y.enterocoliticaは食品衛生法で感染型食中毒菌に,Y.pestisは感染症法で一類感染症に指定されている.

(林谷秀樹先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

関連リンク

  • エルシニア感染症
    (感染症の話,国立感染症研究所感染症情報センターホームページ)