• 入会案内
  • お問い合わせ
  • 日本微生物学連盟

会員サービス

食品微生物の基礎知識

エロモナス属〔genus Aeromonas

エロモナス科に属するグラム陰性の無芽胞の通性嫌気性桿菌で,運動性を有する菌種では,菌体の一端に単毛性の鞭毛を有する.エロモナスには過去に様々な名称が付けられたが,数値分類法やDNA hybridization法などの近代的手法により再分類され,A. hydrophilaA. sobriaA. caviae の3種が記載された.わが国では,この分類に基づいて A. hydrophilaA. sobria が食中毒菌に指定されている.その後多くの新しい菌種が追加されて,現時点では20のDNA hybridization group(HG)が認められ,それに対応する18の遺伝種(genospecies)および19の表現種(phenospecies)が報告されている.エロモナスはMacConkey培地やDHL培地などの腸内細菌分離用培地で発育するが,ビブリオ分離培地であるTCBS培地には発育しない.食品の大腸菌群試験や糞便系大腸菌群試験に使用されるデソキシコレート寒天培地,VRBA培地,EC培地に発育するが,チトクロームオキシダーゼ試験陽性性状により大腸菌などと容易に鑑別できる.元来糞便汚染とは関係がない細菌と考えられているが,健康なヒトや動物の糞便からも分離されることがある.エロモナスは水系の常在菌で,河川,湖沼,その周辺の土壌および魚介類などに広く分布している.諸外国では水道水から分離されることが報告されているが,これはエロモナスが消毒薬の効果が発揮されにくいバイオフィルムを形成することが原因と考えられている.日本の水道水からの分離例は報告されていない.

(浅尾 努先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

関連リンク