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食品微生物の基礎知識

サルモネラ属〔genus Salmonella

サルモネラ属はS. entericabongorisubterraneaの3菌種からなり,S. entericaにはentericasalamaearizonaediarizonaehoutenaeindicaの6亜種が含まれる.サルモネラでは菌体(O)抗原および鞭毛(H)抗原を組み合わせた血清型による分類が行われており,上記S. enterica subsp. enterica(亜種Ⅰとも呼ばれる)に含まれる血清型には固有名詞が付与されている.例えばネズミチフス菌はS.enterica subsp.enterica serovar Typhimuriumが本来の表記であるが,通常はS. Typhimuriumなどのように略記される.サルモネラはグラム陰性の通性嫌気性桿菌で,通常,周毛によって運動する.亜種Ⅰに含まれるサルモネラはおおむね以下の生化学的性状を示す:硫化水素(+),インドール(-),トリプトファンデアミナーゼ(-),β-ガラクトシダーゼ(-),Voges-Proskauer反応(-),リジンデカルボキシラーゼ(+),オルニチンデカルボキシラーゼ(+),アドニット(-),白糖(-),ピログルタミン酸ペプチダーゼ(-).自然界においてサルモネラは哺乳類,鳥類,は虫類,両生類等に広く分布しており,こうした動物から排菌された菌が土壌,河川水等を汚染することも稀ではない.また,家畜,家禽,野生動物はサルモネラを保菌しうることから,それらから派生する食品が同菌に汚染されて食中毒の原因となる.一般に,サルモネラのヒトでの発症菌量は105cfu以上といわれている.しかしながら,集団発生事例の原因食の調査から102ないし103cfuでも発症することが明らかにされている.特に小児および老齢者は感受性が高く,数cfuから十数cfuの感染でも発症する可能性がある.サルモネラ症は主として急性胃腸炎であるが,小児では症状がより重篤で,敗血症を併発しやすく,また老齢者や基礎疾患のある成人では菌が臓器や組織に定着して病巣を形成しやすい.

(泉谷秀昌先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

関連リンク

  • サルモネラ感染症
    (感染症の話,国立感染症研究所感染症情報センターホームページ)