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食品微生物の基礎知識

セレウス菌〔Bacillus cereus

Bacillaceae科のBacillus属に属するグラム陽性の大型の芽胞形成桿菌で,栄養細胞の大きさは1.0~1.2×3~5μmを示す.芽胞は胞子嚢を膨出させず,菌体の中央あるいはやや中央に存在する.周毛性の鞭毛を有する.本菌はB.thuringiensisB.mycoidesおよびB.anthracis(炭疽菌)と遺伝的に近縁関係にある.B.mycoidesは平板上での発育状態や運動性の有無,B.anthracisはペニシリンへの感受性により本菌と区別される.B.thuringiensisは生化学的性状や寒天平板上での発育状況は同一で,培養上は区別できないが,B.thuringiensisには殺虫性の結晶蛋白質を合成し,顕微鏡を用いてその結晶を観察することで両者は鑑別できる.セレウス菌の主な性状は以下のとおりである.(1)発育温度:10~48℃,(2)発育pH:4.9~9.3,(3)Aw域:0.912~0.95,(4)各培地や主食品中での世代時間:トリプトソイは30℃保存で29分,米飯は30℃保存で27分,ミルクは23℃で29分,(5)発芽温度:1~59℃,(6)発芽pH:4.35~9.30,(7)芽胞細胞のD95℃値:4.1~25分.本菌は環境細菌の一つであり,土壌および河川水などの自然環境,そして農産物,水産物および畜産物などの食料,飼料等に広く分布する.本菌の食品への汚染の機会は多く,食料・食材・調理加工食品への不衛生な取扱いが,本菌の汚染をもたらし,腐敗・変敗や食中毒を起こすことがあり,食品衛生上重要視される.本菌に汚染された輸液ラインからの血液感染や,日和見感染による気管支炎,髄膜炎,敗血症,眼球炎,さらにはウシの乳房炎などを引き起こす.

(上田成子先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

関連リンク

  • セレウス菌感染症
    (感染症の話,国立感染症研究所感染症情報センターホームページ)