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食品微生物の基礎知識

腸管出血性大腸菌〔enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC〕

1982年,米国で発生したハンバーガー食中毒事件がきっかけで発見された.EHECは,志賀毒素(Stx)を産生することが特徴である.志賀毒素はベロ毒素とも称され,それゆえ,EHECは志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin-producing E. coli;STEC)あるいはベロ毒素産生性大腸菌(Verotoxin-producing E. coli;VTEC)とも呼ばれている.大腸菌は菌体表面に存在するO(糖鎖)抗原とH(鞭毛)抗原の組合せで様々な血清型が存在する.EHECに属する血清型は現在少なくとも400種類以上報告されているが,O157:H7がわが国や北米で最も多く分離され,重症化に関わっている最も重要な血清型である.Stxに次ぐ重要な病原因子として,LEE(locus of enterocyte effacement)領域にコードされている様々な蛋白がある.代表的なものとして定着に関わるインチミン(eaeA)やtranslocated intimin receptor(tir),Ⅲ型分泌装置やⅢ型分泌装置によって打ち込まれるエフェクター分子がある.その他の病原因子として,LPS(リポポリサッカライド),CDT(細胞膨化壊死毒素)やSubAB(サブチラーゼ様細胞毒素)あるいは巨大プラスミド上にコードされているEHECヘモリシン,EspP(セリンプロテアーゼ),KatP(カタラーゼ)やⅡ型分泌装置などがある.LEE-negativeのSTECからSaa(STEC autoagglutinating adhesin)をはじめ新たな定着因子も見つかっている.

(山崎伸二先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

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