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食品微生物の基礎知識

病原大腸菌〔diarrheagenic Escherichia coli

大腸菌は腸内細菌科Escherichia属5菌種のうちの一つであり,グラム陰性の短桿菌である.その属名は1885年にこの菌を初めて分離したTheodor Escherichの名に由来する.周毛性の鞭毛を有するものが多く運動性を持つが,鞭毛を欠く非運動性菌もある.また,莢膜を持つものもある.普通の培地によく発育し,普通寒天培地上では灰白色,円形の半透明コロニーを形成する.大多数の本菌はブドウ糖の発酵によるガスの産生,インドール産生,硝酸塩の還元などの生化学的性状で陽性を示す.これらの菌は,ヒト,家畜を含む動物,鳥類の腸管内の正常フローラを形成している.一部の菌は病原因子を獲得し,腸管内感染を引き起こす病原性を保持するものがある.このような大腸菌を病原大腸菌,あるいは下痢原性大腸菌と呼び,それぞれの大腸菌の特徴的な発症機序や保有する病原因子によって,主に次に示す5種類に分類することができる.すなわち,腸管侵入性大腸菌(enteroinvasive E. coli;EIEC),腸管毒素原性大腸菌(enterotoxigenic E. coli;ETEC),腸管凝集接着性大腸菌(enteroaggregative E. coli;EAEC),腸管病原性大腸菌(enteropathogenic E. coli;EPEC),腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E. coli;EHEC)または志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin-producing E. coli;STEC)の5種類である.なお,O抗原とH抗原で決定される大腸菌の血清型と病原性には関連性があるものの,同一血清型においても病原性因子を欠く場合もあり,血清型のみでは下痢原性大腸菌と同定することはできない.

(寺嶋 淳先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

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