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食品微生物の基礎知識

ボツリヌス菌〔Clostridium botulinum

偏性嫌気性グラム陽性の桿菌(0.8~1.2×4~6μm)で耐熱性芽胞を形成する.本菌は産生する毒素の抗原性によりA~G型の7型に分類されるが,生化学的性状は毒素型と一致しない.DNAのGC含量は約25%である.周毛性の鞭毛を持ち運動性を示し,通常はカタラーゼ陰性である.第Ⅰ群菌は蛋白分解性ですべてのA型と一部のB型,F型菌が属する.グルコース分解,硫化水素産生を示すがインドール,ウレアーゼは非産生である.ゼラチン,カゼインを水解する.最も耐熱性の高い芽胞を形成する.菌の発育至適温度は37℃であるが,毒素産生は30℃の方が適している.毒素産生以外の性状でC. sporogenesとは区別できない.第Ⅱ群菌は非蛋白分解性で,すべてのE型菌と一部のB型,F型菌が属する.グルコース,フルクトース,マンノース,マルトース,トレハロースを分解する.発育至適温度は30℃と最も低く,耐熱性の低い芽胞を形成する.低温菌の性状を有しE型菌は3.3℃で増殖,毒素産生が起こる.ゼラチンを水解するがカゼインは分解しない.第Ⅲ群にはC型,D型菌が属する.毒素産生能はファージに依存しているため容易に消失する.ほかの群菌と比べて発芽,増殖に高い嫌気条件を要求する.発育至適温度は37~40℃で,多くの菌は45℃でも増殖する.弱いβ溶血活性を示す.本群菌はC. novyiと非常に類似した性状を示す.第Ⅳ群菌にはG型菌のみが属している.ほかの群菌と異なり糖非分解性でリパーゼ非産生であるが,弱いながら蛋白分解性を有し,ゼラチンおよびカゼインを水解する.芽胞形成能が低く,形成される芽胞も大部分が易熱性である.発育至適温度は37℃である.毒素非産生のC. subterminaleと生化学的性状が類似しているため,本属菌に対してC. argentinenseの名称が提案されている.ボツリヌス菌は毒素とともに「感染症法」で二種病原体に指定されているため,これらの所持許可の届出をしていない施設で,検査により菌が分離同定された場合は1日以内の届出,3日以内の滅菌廃棄,あるいは他の施設への移管が必要である.

(小崎俊司先生,中央法規出版「食品微生物学辞典」より)

関連リンク

  • 乳児ボツリヌス症
    (感染症の話,国立感染症研究所感染症情報センターホームページ)