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NGS座談会 第1回 NGSに触れたきっかけ、当初に直面した課題
第1回
1.趣旨説明
この座談会を開催した背景についてまず説明します。新型コロナウイルス感染症が流行したことを1つの契機に、多くの地方衛生研究所や大学に次世代シークエンサー(NGS)が整備されました。これにより細菌感染症や感染性食中毒の疫学解析が飛躍的に進むことが期待されています。一方、これが実質的に十分活用されているかというと、まだまだ期待通りには進んでいないのが実情です。一部の限られた人しか使っていなかったり、研究者と行政官との間でデータを共有するときに認識の齟齬が生じるという課題も挙げられています。今後私たちは、このNGS時代においていま何をすべきかということを真剣に考えなければいけません。座談会ではまず、すべての人がNGSによるゲノム解析技術に気軽にアクセスできるようになることを理想に、現在NGSを活用してゲノム解析を業務に利用している(あるいは利用したいと思っている)3名の方にお集まりいただき、自由に意見交換していただきました。
2.座談会概要
開催日 :2023年10月14日
開催場所:大阪市内
司会進行:三宅 眞実(大阪公立大学)
参加者 :野本 竜平(神戸市健康科学研究所)
和田 崇之(大阪公立大学)
中村 寛海(大阪健康安全基盤研究所)
3.NGSに触れたきっかけ(野本)
三宅
それではまず、野本さんから、略歴とNGSに触れたきっかけについて話していただけますか?
野本
私は農学部・水産系出身で、カンパチの連鎖球菌のワクチンを作るのが学位(博士)のテーマでした。その後、縁があって神戸大学で職を得たとき大学にあったMiSeq(次世代シークエンサー)に興味を持ち触り出したのがきっかけです。それまでにもデータベース上の配列データ検索などやって...
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